DREAMS Award 2013 受賞作品 入賞 和泉 通子さん(石川県 37歳)

「私と世界をつなぐもの」

「誰かとつながっていたい」。強くそう思った1年前を思い出します。多発性硬化症と診断された時です。

この写真は、自宅で友人が撮ってくれました。デザイナーとして仕事に向かう前の1枚です。私には2人の幼稚園に通う娘がいて本当の産みの苦しみを経験しましたが、デザインという仕事も、それに似た生みの苦しみを感じます。だから生まれてきた子(作品)は我が子と同じように愛しい。私が生き生きと感じる瞬間は、デザインの仕事をしている時です。

昨年の2月の半ばに、眼を動かすと痛みを感じ、家事も仕事も普通に出来なくなりました。病院で検査の末、聞き慣れない病名を伝えられ、そして入院…。突然のことに状況もよく分からぬまま、病室の窓の外で降り続ける雪のように、「難病」という言葉だけが心に重く積もっていきました。何度も病院のベッドの中で声を殺して泣きました。

そして仕事が出来なくなってしまうと、このまま私の世界は閉じてしまうのではないかという閉塞感と喪失感に苦しみました。「病室で仕事をさせてください」。当時の担当医に必死に頼み込んで、病室にノートパソコンを持ち込みました。病気になる前は子育てをしながらバタバタと仕事に追われ、時々「も〜仕事休みたい。いやや〜」と言っていたのに。私は仕事が大好きなんだと気づかされました。

育児と家事をしながらの仕事は楽ではありませんし、病状が悪化するのではないかという不安は消えません。検査入院など子どもたちにも寂しい思いをさせていますが、隣でいつも笑いながら「ママ、お仕事好きなんでしょ! だから弱気になっちゃだめ!」と励ましてくれます。

多発性硬化症と診断されてから1年。この難病が気づかせてくれた大切な時間、支えてくれる大切な人たちを笑顔にできるように、私はこれからもデザインし続けたい。そして、いつか患者目線で医療に貢献できるデザインを生むこと、それが私の夢です。