DREAMS Award 2013 フォト&エッセイ コンテストト 表彰式

DREAMS Award 2013 フォト&エッセイ コンテストの表彰式は
2013年5月18日に都内で開催されました。
選考委員の方々からの講評や感想と、受賞された5名の
多発性硬化症(MS)患者さんのスピーチの概要をお伝えします。

主催者代表挨拶

バイオジェン・アイデック・ジャパン代表取締役社長

レスリー・フォスブルック

今回寄せられた作品はどれも「人生を変える力」を持っています。特に入賞作からは、友人や家族の励ましがいかに大切であるか、そして患者さん一人ひとりがそれぞれの夢をお持ちであることが伝わってきました。先輩の患者さんの経験を通して、他の患者さんの悩みや不安が軽減できる可能性は確かにあります。夢を持つこと、かなえることは可能なのだと教えてくれた応募者の皆さんに心から感謝いたします。これからもより多くの方々にMSについて知っていただき、患者の皆さんを勇気づけることができればと願っています。

選考委員長

日本多発性硬化症協会理事長

井形 昭弘 さん

MSは日本ではまだあまり知られていない慢性病のひとつですが、政府の支援は徐々に強まりつつあり、医療従事者や製薬会社も効果的な治療に向けて努力を重ねています。皆さんは決して一人ではありません。MSも結核などと同様、いずれ克服できる病気になることは間違いないと私は信じています。そのためには、皆で支え合っていくことが大切です。皆さんから寄せられた感性豊かな写真や作文は、他の患者さん、ご家族への大きな励ましになるでしょう。これからも未来に向かってともに前進していきましょう。
次に、5名の受賞者が受賞の感想や作品に込めた想いを語ってくださいました。

小原 良子 さん(岩手県 32歳)

主治医の先生の「出してみたら」というひと言に背中を押され、このコンクールに応募しました。出産で休職していましたので、ゆっくりとこれまでを振り返るつもりで書くことができました。MSにかかって5年になりますが、幸い早期発見だったため、再発時を除けば病気を忘れるくらい元気に生活できています。つらいときに周囲になかなか気づいてもらえない苦しさもありますが、今後はMSという病気を理解してもらうためにも、苦しいときには手伝ってもらえるようお願いしていくつもりです。家族や周囲の協力を得ながら、病気とうまくつきあい、再発を予防し、子どものためにも元気に過ごしていきたいと思っています。

大橋 愛喜恵 さん(大阪府 24歳)

今回入賞できたこと、そしてバイオジェン・アイデック社が研究を重ねて、多くの新しい治療薬を出してくださっていることに感謝の思いでいっぱいです。私は障がいを持つ方の一人暮らしをサポートする仕事や、NHKのテレビ・ラジオ番組に出演して障がい者に関する情報を発信する仕事をしています。このような活動を通じて、製薬会社が治療薬を開発してくださるのと同様に、私たち患者もどんどん社会参加をして、持てる情報を伝えていかなければいけないなと日々感じるようになりました。これからも一人でも多くの患者さんが社会に出て、仕事に就き、元気でいられるよう、皆さんと支え合いながら頑張っていきたいと思います。

森本 奈歌子 さん(和歌山県)

結婚したときには健康そのものだった夫が、子どもが生後6ヵ月のときに発病しました。はじめはショックでしたが、結婚式で「病気のときも助け合う」と神様に約束したことを思い出し、彼の病気と一緒に生きていこうと心に決めました。子どもが1歳半のとき、両足に麻痺が出たときには不安でたまりませんでしたが、夫はいつも私に優しく、子どもには温かいパパでいてくれました。私よりも夫のほうがつらいはずですが、その夫に支えられてここまでやってくることができました。運動会の玉入れで夫に玉を渡す子どもの様子を作品にしましたが、自分が素晴らしい家族に恵まれていることを改めて実感させていただき、感謝しています。

木村 大介 さん(広島県 42歳)

30歳でMSと診断され、34歳で車椅子の生活となりました。脱力感、手足の筋力の低下などさまざまな症状が出ましたが、一番の問題になったのが足の筋力低下でした。自動車会社に勤務していましたが、立ち仕事ができなくなり、退社を余儀なくされました。今は、家で昔のビデオを見るのが日課となっています。車が大好きなものですから、自分の車を運転している姿、足を引きずりながらも歩いている姿、子どもをあやしている姿を見て、「またこうなりたい」とリハビリに励んでいます。そんな私を見て息子が「看護師になりたい」と言ってくれたことは、たいへん大きな喜びでした。これからも家族と一緒に力を合わせていきたいと思っています。

和泉 通子 さん(石川県 37歳)

今日初めて同じ病気の患者さんに出会うことができ、とても感動しています。昨年MSにかかってから、自分は一人ぼっちだと感じていました。再発したときはただただ泣きましたが、どうしても仕事を続けたいという思いから、主治医の先生にお願いしてパソコンを部屋に持ち込み、仕事に向かいました。周囲の励ましを通じて勇気をもらい、今ではこうして病気と向き合えるようになっています。MSはちょっとわがままな、つきあい始めの彼氏のようなものですね。わからないことも多く、不安は尽きませんが、彼のおかげで小さな出来事を幸せに感じたり、チャレンジ意欲が湧いたりしています。神様がくれたプレゼントだと思って、これからも病気とつきあっていきます。
審査員

全国多発性硬化症友の会 事務局長

坂本 秀夫 さん

日本には5000〜7000もの難病があるといわれます。今年、国が「今後の難病対策について」という提言を発表し、医療費助成の対象を現在の56疾患から300疾患程度に増やすとしていますが、まだまだ多くの支援が必要です。患者の皆さんにはぜひ、同じ病気と闘っている仲間がいることを忘れないでほしいと思います。まだ「友の会」に入っておられない方は、この機会にぜひご加入ください。総会や交流会の開催も予定しています。情報を交換し、互いに励まし合っていきましょう。
審査員

国立精神・神経医療研究センター病院
多発性硬化症センター長

山村 隆 先生

MSの症状に軽重はありますが、患者さんの多くは、就職、結婚、妊娠、出産など「いいこと」があると必ず症状がよくなります。今日の受賞で皆さんの免疫系にスイッチが入り、きっといい方向に向かうと思います。30年前には原因不明の難病として、十分な治療ができなかったMSですが、今では毎年のように新しい研究成果、治療薬が出ています。5年後、10年後には多くの薬が出て、この病気も過去のものになる可能性は大いにあります。頑張っていきましょう。
特別審査員

写真家

浅井 愼平 さん

この機会を与えてくださった関係者の皆さまにまずお礼を申し上げます。人は病と闘う一方で、自分自身が強くなったり、誰かに勇気を与えたりすることができるのですね。病気を抱えていることを互いに口には出さなくても、どこかで同じように闘い、つながっている人がいるというのは素晴らしいことです。皆さんがそうして支え合い、夢を持って過ごしておられる姿に強く感動しています。この勇気を、世界中の人々にわかってもらいたい。私も少しでもお力になれたらと願っています。

前列左から:和泉通子さん、森本奈歌子さん、小原良子さん、大橋愛喜恵さん、木村大介さん
後列左から:坂本秀夫さん、レスリー・フォスブルック、山村隆先生、井形昭弘さん、浅井愼平さん