DREAMS Award 2014 受賞作品 入賞 樋田 久美子さん(福岡県)

「咲かせてみませんか!」

1989年、急に左目が見えなくなり、ステロイド点眼のため入院し、その時「多発性硬化症」と言われた。数年前から排尿障害など不定愁訴が続いていたのでショックはなかった。

病院の臨床検査技師をしていて、採血業務など身体を前傾させて保つのがとてもきつくて辞めることも考え、働いているうちでないとローンが組めないことに気付き、清水の舞台から飛び降りる気持ちで一戸建ての家を建てた。お庭もちゃんと確保して・・・。

数年前、近くにガーデニングのお店が出来て、お庭の施工をお願いした。
ちょっとした小道を作ったり、飛び飛びに石を埋めたりして、奥行きが深く感じるような設計図を見て、わぁ、素敵!
アーチやパーゴラ、白いウッドデッキ、グリーンが映えるように白い柵を新たに設置した。

見違えるようにすっきりした。庭が広くなった。
その店で苗を買ってきては植え、植えたところにまた植えたりして、今ではインターネットで注文して植えるまでになった。植える時は手の力がないので、友達に手伝って貰っている。

今は亡き母も庭いじりが好きだったが、自分がこんなに好きになるなんて思ってもみなかった。虫は大の苦手だったけど、今ではミミズさん、土をきれいにしてねと語りかけ、薔薇につく虫は、見えにくい眼で虫食い葉を見つけて、直ぐに殺虫剤をかける。

今は薔薇が一番好きな花になった。薔薇だけでも10種類以上はある。いずれ薔薇屋敷に・・・と企んでいるが、そうそう全部が元気に咲いてはくれず、思い出したように肥料を遣る。

草取りは嫌いではなく、頭の中で○○さんはどうしているか、などと日頃考えないことが浮かんできて楽しい。「無心」になるのだ。
これは「無心」とは言わないと反論がきそうだが・・・。

緑の庭の中にいる時や、そよかぜを感じる時、咲いたお花を愛でる時は、私の至福の時である。それにお茶とお菓子があれば最高! あなたも花を咲かせてみませんか!