DREAMS Award 2014 フォト&エッセイ コンテストト 表彰式

DREAMS Award 2014 フォト&エッセイ コンテストの表彰式は
2014年5月31日に都内で開催されました。
選考委員の方々からの講評や感想と、受賞された5名の
多発性硬化症(MS)患者さんのスピーチの概要をお伝えします。

主催者代表挨拶

バイオジェン・アイデック・ジャパン代表取締役社長

レスリー・フォスブルック

ご応募いただいた作品を通じて、私自身も多くのことを学びました。一つ目は患者さんにとってご家族や友人のサポートが不可欠であること、二つ目はこの貴重な経験談が、今苦しんでおられる方を救うために必要であること、そして三つ目に、皆さん一人ひとりが本当に素敵な夢をお持ちであるということです。作品に託された言葉や想いは、同じような境遇に身を置く方々に夢を持つことの大切さを伝え、それをかなえるための糧となるに違いありません。これからの私の責務は、そうしたメッセージをより広く届け、多発性硬化症(MS)についての理解を深めていただくとともに、新薬の開発に一層力を入れることだと思っています。

選考委員長挨拶

日本多発性硬化症協会 理事長

井形 昭弘 さん

今年は応募が多く、心に訴えかけてくるものに満ちたすばらしい作品にたくさん触れることができました。皆さんから発信されたメッセージは、他のMS患者さんにとってもかけがえのないものです。多くの人々の共感をよび、自信の源になるとともに、MSという病気に対する社会の認知度を高めるうえでも大きな力となるでしょう。今は行政もMS治療への対策や支援に積極的ですし、かつては難病だった結核などと同じように、必ず近い将来に原因が特定されて、完治する病だと私は信じています。当協会も、皆さんへの支援およびMSへの理解をすすめる活動を続けてまいりますので、ともに力を合わせて頑張りましょう。
次に、5人の受賞者が受賞の感想や作品に込めた想いを語ってくださいました。

最優秀賞 鈴木 規子さん

ちょうどこのコンテストの受賞のお知らせをいただいたとき、視神経脊髄炎(NMO)を再発して入院してしまいました。この病気とはもう16年ほどの付き合いになり、再発するたびに精神的に不安定になってしまうのですが、それでも自分なりに乗り切るための努力は続けてきました。そのひとつは、「やりたいこと」をあきらめないこと。たとえば、入院中でも週末は自宅に帰ってパンを焼いたり、友だちと映画を観に行く時間をつくったり。症状が落ち着いているときには積極的に旅行に出かけたりして、なるべく自分で立てたプランを変えないようにしています。これからも、再発にも動じない精神力を身につけ、生活の基盤をきちんとつくって、上手にこの病気と付き合っていきたいと思います。

優秀賞 鈴木 弘美さん

私がこのコンテストへの参加を決めたのは、自分自身を含めて、エッセイや写真を通じて同じ境遇にいるMS患者さんたちを少しでも勇気づけることができればと考えたからです。もちろん、今でもその想いは変わりません。たとえ小さなことでも壁を感じている患者さんがいて、その人を勇気づけてあげられるのなら、また書かせていただきたいと思っています。自分にできることがあれば、何かしらのお役に立ち続けていたい。ですから皆さん、いつでもお声をかけてください。本日はこのような賞をいただき、表彰式にも参加させてくださり、本当にありがとうございました。これからも前を向いて頑張っていきます。

入賞 安荘 多恵子さん

MSを発病してから13年がたちます。この間、車イスの生活を余儀なくされ、MSの再発をくりかえすことに加えて他の病気も併発し、どんどん障がいが残っていくという状態でした。でも、そうしたなかで私が強く心に思うのは、自分のしたいことを思いっきり楽しみながら生活していこう、ということです。それは私の夢でもあります。私はよくばりなのでたくさんの夢がありますが(笑)、ひとつずつ無理はしないでかなえていきたい。そして、MSに限らず何らかの障がいを持つ方たちの力にもなりたい。MS患者と障がいを持つ方が通じあうことはたくさんあるのです。私にできることを惜しまず、よりよい社会をつくるお手伝いができればと願っています。また、主治医や他科の先生方、友人、家族、そして、このような機会を設けてくださった方々に心より感謝致します。

入賞 樋田 久美子さん

17歳のとき、学校の先生の話が突然理解できなくなり、その後、目標にしていた大学の受験はうまくいきませんでした。私の人生の大半を蝕んできたMSですが、2年前に母を亡くした失意の底で、この病気のために生きることを決意したのです。MSという病気の存在を多くの方に広く知ってもらうため、患者同士の交流サイトを立ち上げました。また、昨年から患者の交流会を月1回程度開いています。みんなでわいわいと話し合い、自分の世界がぐんぐん広がって、「交流会に来てよかった」という言葉をもらうことにやりがいを感じています。海外からもメールが届き、各国の事情を知ることもできました。今回のコンテストも、MSについて広く啓蒙する大きな機会。参加させていただいたことに深く感謝しています。

入賞 石田 光代さん

3年前に結婚し、その3ヵ月後に視神経脊髄炎(NMO)を発症しました。発症時は、意識障害やすべての運動機能が奪われるという重い症状でした。一瞬にして変わってしまった現実を受け入れられず、生きる希望を失いかけた時期もありましたが、毎日、献身的に看病し、勇気づけてくれる家族を見ているうちに、「前向きに頑張らなければ。一日も早く元の姿に戻りたい」と強く思うようになりました。そして半年間の入院を経て、無事退院。改めて大勢の方々に支えられ、生かされていることを実感。だからこそ、感謝の気持ちを忘れず、できることに精一杯取り組むことの大切さを痛感しました。今回、このようなすばらしい評価をいただいたことは自信と励みになりました。これからも前向きに、様々なことに取り組んでいきたいと思います。本当にありがとうございました。
審査員

全国多発性硬化症友の会 副会長

佐藤 仁子きみこさん

私がMSを発症したのは幼少期、診断されてからもう45年。患者歴は長いのですが、結婚、出産をして孫もいる、非常に幸せな人生です。病気と上手にお付き合いをしていけば、こういう人生を送ることは難しくありません。そのためにも大切なことが、「自分がしたいことをする」という姿勢です。何でもできるのです。何かをしていること、動くこと、内にこもらないことが非常に大切だと感じています。今日、受賞者の皆さんが同じ想いで前を向いていらっしゃることがわかり、うれしくなりました。皆さんの頑張っておられる姿を全国にお伝えしたいと思っています。
審査員

国立精神・神経医療研究センター病院
多発性硬化症センター長

山村 隆 先生

30年前のMSは大変な難病と認識されていましたが、今ではMRIの診断技術も発達し、ステロイド・パルス療法もあります。医学は必ず進歩します。今後5〜10年で治療薬も10種類以上に増えて、完治できる時代が来るでしょう。皆さんの作品にはとても感動しました。臨床の場にいる私たちドクターにとって患者さんの実生活を知る機会はなかなかないものですが、このようなエッセイを読むとさまざまなことが見えてきます。この病気とかかわる全国すべての医師たちに、ぜひ読んでほしいと思いました。
特別審査員

フォトジャーナリスト/戦場カメラマン

渡部 陽一 さん

戦場に行くと、僕は必ずそこで暮らす人々に「あなたにとって、幸せって何ですか?」と質問します。返答は、どの国でもかなりの確率で重なりました。「やりたいことに挑戦できること」。制限された生活の中でも、家族やみんなと一緒にいれば生き延びることができる、そして、やりたいことがあれば少しずつでもいい、できることからコツコツ挑戦できること、それが幸せへの一つの条件であるというのです。僕はどんな写真でも笑っている写真、挑戦をしている写真が大好きです。皆さんの写真からも、同じことが伝わってきます。笑顔が生まれ、元気や勇気が湧いてくるような「挑戦する姿」が感じられました。1枚1枚の写真に見どころがあり、文章にも大きく胸を揺さぶられました。今回、特別審査員を務めさせていただき、心より光栄に思います。戦場の子どもたち、様々な環境にいる人の声をたくさんの人に知ってもらうこと、僕もカメラマンとして一つ一つできることを続けていきたいと思っています。

前列左から:樋田久美子さん、鈴木規子さん、鈴木弘美さん、石田光代さん、安荘多恵子さん
後列左から:レスリー・フォスブルック、山村隆先生、井形昭弘さん、佐藤仁子さん、渡部陽一さん