DREAMS Award 2014 受賞作品 最優秀賞 鈴木 規子さん(神奈川県 37歳)

「パンで笑顔に」

21歳でNMO(当時はMSと言われていた)を発症して以来、再発を繰り返したり右目が失明したりつらいことが多かったけれど、ここ数年は再発もせず元気にパン作りを楽しんでいます。
大のパン好きだった母の影響なのか私もパンが大好きで、バツイチになり実家に戻ったのをきっかけにパンを作るようになりました。
最初は本やインターネットを見ながら簡単なものを作っていたのですが、段々物足りなくなり難しいハードパンに挑んでみると、これが全くうまくいきませんでした。
パン作りは、私が思っているよりもずっと繊細で奥が深いものだったのです。室温や湿度、こね具合、焼成温度などのちょっとした違いで膨らまず固くなってしまったり、不恰好になってしまったりします。上手くいくまで何度も何度もやってみるしかないのです。
普段は集中力のない私が、少しの痺れや痛みなら忘れてしまうくらいに集中します。病気のことなど一切忘れ、無心で手を動かしオーブンとにらめっこです。
特に苦戦したのが、カンパーニュというパンです。焼く前に入れた十字の切れ目が焼いている間にパカっと開くはずなのに、何度やっても開かないのです。
インターネットや本で原因を探したところ、オーブンの余熱が足りないことや乾燥などが原因だとわかりました。初めて切れ目がきれいに開き上手く焼けたときは、嬉しくて母と大喜びしました。
母は、たいていパンが焼ける頃匂いを嗅ぎつけてキッチンにやって来ます。菓子パンなどの小さい物のときは6〜8個出来るので、その中の1つが母の焼きたて試食用になります。あとは翌日の朝食です。
ハフハフしながら嬉しそうに焼きたてのパンを頬張る母を見ていると、母のためにももっと腕をあげなければと思います。病気になってからの16年間ずっと支えてくれた母。こんなことでは恩返しにはならないけれど、これからもたくさんパンを作って母を笑顔にしていきたいなと思っています。