DREAMS Award 2011 第1回作文コンテスト 表彰式 2011年5月14日 アグネスホテル & アパートメンツ東京にて

Dream Award 2011 第1回作文コンテストの表彰式は2011年5月14日に開催されました。選考委員の方々からの講評や感想と、受賞された2名の方のスピーチの概要をお伝えします。

主催者代表挨拶

バイオジェン・アイデック・ジャパン 代表取締役社長 

尾崎 拡

第1回作文コンテストには、多発性硬化症(MS)患者さんから37本もの作文が寄せられました。どの作文にも患者さんの病気に対する前向きな姿勢が強く表れており、心を打たれました。MSの症状や障害がありながらも作文を書いて応募してくださったこと自体に感謝しています。
受賞者のお二人は、困難を克服し夢や希望を抱きながら生きる姿を綴った素晴らしい作文を寄せてくださいました。
MS治療薬の開発は進んでいます。一日も早くより良い薬を患者さんにお届けできるよう、我々も一層努力していきたいと思います。

選考委員長代理

日本多発性硬化症協会 事務局長

相田 長利 さん

応募していただいた患者さんに厚く御礼申し上げます。最終選考に残った作品はいずれも素晴らしく、応募者が積極的に難病に立ち向かっている姿を反映しており、順位をつけることが大変に難しかったです。
5月の最終水曜日は「世界多発性硬化症の日」です。多発性硬化症協会は本年も、街頭でのパンフレット配布などを通じてMSに関する啓発活動を行う計画です。今後も患者さんとともにできる限りの努力をしていきたいと思っています。
次に、2人の受賞者が受賞の感想などを語ってくださいました。お二人とも、お話は周囲の人々への深い感謝の言葉から始まりました。
最優秀賞 上壁 由美 さん
難病を自覚することは恐いです。ウソだ、間違いだと思いたい、それが患者の本音です。でも、作文を書くためには病気を直視せざるを得ず、一時は落ち込み、挫折しそうになりました。しかし、病気について考える貴重な機会を得たと思います。
発症前から現在まで、演劇と音楽の世界で活動していますが、作品の中でMSに触れたことはありませんでした。でも、作文をきっかけに伝えることの大切さに気づきました。私の存在が他の患者さんの励みになるなら、またMSを正しく理解してもらうために役立つなら、表現を通じてMSについても発信していこうと思うようになりました。
発症から20年になりますが、MSの治療は明らかに進歩しました。進歩は続くでしょう。明日には特効薬が見つかるかも知れません。全国のMS患者さんに「希望を持って、明日もいっしょに生きましょう」と伝えたい気持ちでいっぱいです。
優秀賞 林 小百合 さん
一見健康そうに見えますが、ある日突然、まっすぐに立つ、字を書くといったごく当たり前のことができなくなります。できないことが増えるたびに、できることがまだあることに感謝する気持ちが強くなります。
病気になってから、物事へのしがみつきが減りました。人生はコインの裏表と同じで、悪いことだけが起こるはずがないと思っています。いつもその裏側をどう捉えるかが大切になってくると思います。この世に命を授かった限り、得るものがあれば失うものがあると思います。病気になった自分を受け入れた時から、体の自由を少し失った代わりに心の自由を得たと思えるようになりました。
本当の勇気とは事実を受け入れる覚悟を決めることであり、本当の幸せは現状を受け入れたその先にあると私は思います。
MSになってよかったとは言えませんが、得るものはありました。この賞も、病気をきっかけに考え方が変わったからこそいただけたと思います。

選考委員

 
全国多発性硬化症友の会 事務局長

若林 章 さん

最優秀賞受賞者の上壁さんは、発症前からの夢をあきらめることなく、困難を乗り越え、時には活動のかたちを変えながらも前進しています。優秀賞の林さんは、次々と新しい目標を設定し、努力して一つ一つ達成しています。お二人の努力の裏には、自分を支えてくれる人への深い感謝がありました。
今回、夢に向かって生きる姿を綴った作文の募集を企画していただいたことに患者の一人として感謝しています。37本という応募件数は、多くの患者が希望を持って生きていることを示してくれました。

選考委員

京都民医連中央病院 神経内科 顧問
大阪・入野医院 総合めまいセンター 顧問

齋田 孝彦 先生

応募作品はどれも素晴らしく選考に苦労しましたが、ご自身の経験、考えや夢を豊かな言葉で表現している受賞2作には特別に光るものを感じました。
自分の状況を受け入れることを医学的には受容といいます。MSを受容し、新しい目標を設定して夢を持ち、そこに向かって努力することで命は輝きます。お二人は作品の中で素晴らしい輝きを見せてくれました。
輝きの強さは一人一人異なりますが、どの患者さんも最大限に努力していることを医療者は忘れてはならないと思います。

選考委員

読売新聞東京本社 編集委員

前野 一雄 さん

上壁さんの舞台に向けた一途な思いと、病気があってもそこに戻るんだという力強い姿勢に心を打たれました。また、病気も含めて自分の生き方を受け入れる林さんの姿勢に共鳴しました。
患者になってもそれまでの夢を追い続ける上壁さんと、病気になって新たな生き方を見つけた林さん。歩む道は違うけれど、お二人の作品はどちらも、辛いときも前を向き、希望を持って生きていくことによって人生は豊かになると教えてくれました。

特別選考委員

女子マラソン 五輪メダリスト

有森 裕子 さん

MSについて知っていたからではなく、知らなかったから、私は特別審査委員をお引き受けしました。おかげでこの病気について知ることができました。さらに、患者さんの真摯な生き方を見て、自分も毎日を大切に過ごさなければならないと痛感しました。
患者さんには、どんな時も決してあきらめず勇気をだして前進していただきたい。また、MSに関する世の中の理解を深めるために今後もひきつづき情報を発信していただきたいと思います。

前列右から 優秀賞 林小百合さん、最優秀賞 上壁由美さん、上壁さんのお母様
後列右から 若林章さん、相田長利さん、尾崎拡、有森裕子さん、齋田孝彦先生、前野一雄さん